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FF15(FFXV)は今もファブラ・ノヴァ・クリスタリス作品なのかどうか

 

 3月末の大きな発表会とそれに伴う発売日発表に向け、各方面で動きを活発にし始めているFFXVですが、元となったヴェルサス13の発表以来10年近くの月日が流れたためか、その情報についてかなりの錯綜および議論が起きています。

 今回はそういった混乱の代表例の一つ、「FFXVは今もファブラ・ノヴァ・クリスタリス作品なのかどうか」について、現時点で言えることについて考えてみたいと思います。

 (注意:本記事の焦点は、あくまでファブラ神話に関するものです。その他の変更点、そしてその是非については深く触れないことをご了承ください)

 結論から述べます。

FFXVがもはや全くファブラ・ノヴァ・クリスタリス関連作品でない、とは、必ずしも断言できない」

 あいまいな物言いになってしまいましたが、上記の疑問に対する第一の回答としてはこうなります。では、順を追って考えていきましょう。
(以下、箇所によってはファブラ・ノヴァ・クリスタリスを「FNC」と略表記します)

前提

 まず、そもそもの話を端的に書きます。

 FFXVは、当初「ファイナルファンタジー ヴェルサス13」として、「ファイナルファンタジー13」「ファイナルファンタジー アギト13」と共に2006年に発表されました。名前から分かる通り、FF13の関連作としてプランニングされていたのです。

 しかし関連と言っても、単なる続編やスピンオフではありません。どころか、FF13とストーリーやキャラクター、世界観すら共有していないのです。では何が関連しているのかというと、それこそが「FNC神話」なのです。

 日本語に訳すと「新しいクリスタルの物語」となるこの神話をモチーフとした、3つの異なるFF13を作る、それが「ファブラ・ノヴァ・クリスタリス ファイナルファンタジー13」構想であり、その一環としてヴェルサス13が発案された、ということです。言ってみれば、「FNCを共通項としたアンソロジー、コンピレ―ション作品群」といったところでしょう。

 しかし、この構想は諸般の事情により変更を余儀なくされることとなります。まずアギト13が「FF零式」と改題されることとなり、そして2013年のE3において、ヴェルサス13も「FFXV」へと改題されました(この時点ではあくまで改題)。そしてFNC計画の中らも、いつのまにか「13」の数字が消えたのです。「諸般の事情」についての詳述はまた後日にしますが、しかしこの時点においては変更はあくまで名称のみにとどまっていました。

 ここまでで把握してもらいたいのは、当初FFXVはFNC作品の一環として生み出された、ということです。

 変更

 しかし、ある時期から、FFXVがもはやFNC作品でなくなってしまったという可能性が指摘されるようになります。そのきっかけは、ディレクターの交代と、ステラとルーナというキャラクターでした。

 ある時に、FFXVの担当ディレクター人事に変動がありました。野村哲也氏の単独ディレクター制から、田畑端氏と野村氏の共同ディレクター(コディレクター)制となったのです。そしてさらに暫くし、2014年のTGSの頃となると、野村氏は担当から外れ、田畑氏の単独ディレクター体制へと変更されました。

 田畑氏は当初、野村氏の意向を引き継ぎ、ヴェルサス13時代からの設定の変更は無い、としていました。しかし2014年のTGSにおいて公開されたトレーラーが、その発言に疑問を呈すきっかけとなりました。トレーラーにおいては、かつてヴェルサス13でヒロインとして紹介されていたステラという女性キャラクターに代わり、ルーナという新たな女性キャラクターがフィーチャーされていたのです。そしてその後の12月に発表されたトレーラー、翌年3月に配信された体験版においても、ルーナがフィーチャーされ、そしてステラは登場しませんでした。

 

 そして体験版配信後の、2015年のアクティブタイム・レポートにおいて、以下の旨が田畑ディレクターにより伝えられました。

  • FFXV本編において、ステラは登場せず、代わりにルーナがヒロインとして登場する。
  • ヴェルサス時代の、首都インソムニアにおけるパーティーシーンと、それに伴う首都脱出シーンは没案となった。
  • 理由は、当初FF13と同様の連作として出す予定であったのが、会社方針の変更により一作完結にすることとなり、ストーリーをそれに合わせ変更したため。

 この時点においては、設定変更があることは確かでも、一見するとFNC神話から外れたとまでは言えないように思えます。しかし、「ステラ」というキャラクターが持っていた能力、そして「インソムニアにおけるパーティーシーン」について考えると、話は変わってくるのです。

  端的に言うと、FNC神話には「エトロ」という死を象徴する神が登場します。ヴェルサス時代において、主人公のノクトと、そしてステラは、そのエトロの光を見る力がある、という設定でした。それについて二人が会話を交わすのが、件のパーティーシーンでもあります。そしてそれらが削除されたことは、上記のエトロに関する設定も削除されてしまったことを意味するのでは?という推理がなされたのです。

 このような根拠から、FFXVにおいてFNCの要素を完全に排除するような力学が働いているのでは、と見る向きが出てきたのです。

 そして、この推測に対しての一定の回答が、2015年夏ごろに行われた田畑氏へのインタビューにより出されたのです。
 以下では、そのインタビューについて検討していきたいと思います。

 

インタビューからわかること

 

まずは、ファミ通の、8月初頭、ドイツのゲームズコムにて行われたインタビュー。

www.famitsu.com

――ではもうひとつ。神話や神についての設定は、『FFヴェルサスXIII』から『FFXV』への移行により変更があるのでしょうか。

田畑 『FFXV』にする段階で、そこまでに固まっていた設定については、神話とは強く絡めず『FFXV』の設定として取り込んでいます。ファブラの神話として出てくるものではありませんが、ベースとして活きています。

――表現のしかたが異なると。

 

続いて、GameSpotによる、アメリカのPAXにて行われたインタビュー。

www.gamespot.com

When Final Fantasy Versus XIII was announced, Square Enix said it would be part of Fabula Nova Crystallis, a series of Final Fantasy games connected by their themes and mythology. According to Tabata, Final Fantasy XV is no longer connected to the Fabula Nova mythology, and is thematically much different than Versus XIII was, though some design elements remain.

The woman in the Final Fantasy XV logo--drawn by series artist Yoshitaka Amano--isn't necessarily Etro, the goddess of death mentioned in earlier trailers for Final Fantasy Versus XIII. She is, however, the most important goddess in XV's world, and Amano's original sketch of her was the inspiration for her character.

 

そしてIGNによって同時期になされたインタビューです。

www.ign.com

 

“It’s a little bit rough, but in terms of how much it had progressed in terms of development, Versus XIII was around 20 to 25 percent,” Tabata told IGN via translator. “In terms of character designs or visuals, nothing really had been fixed at that point. We were still working on updating it and revising those designs.”

Tabata says that development on Final Fantasy XV started around three years ago, and Versus XIII “was being developed up to the point that XV started development.”

“With regards to that overarching universe and setting for the world of Versus XIII, it was constructed around the Fabula Nova Crystallis setting, so there was a certain amount that had been included and decided upon,” Tabata explained. “But when we shifted toward XV, obviously we took that apart and evaluated what would make sense and what wouldn’t. So there’s portions that remain from the earlier Versus XIII, but then there’s portions which evolved or changed due to the change in the direction of the title.”

  この三つの内、一番過激な表現をしているのはGameSpotです。" Final Fantasy XV is no longer connected to the Fabula Nova mythology "、「FFXVは最早FNCとは繋がっていない」と書いています。これだけを見ると、完全にFFXVとFNCは縁が切れてしまっているように見えます。しかし残りの部分と、そしてファミ通とIGNの記事を総合してみると、必ずしもそうは断言できないことがわかります。

 IGN記事の下線部は、おおよそファミ通の記事と同じことを言っています。(訳:XVに移行する際、我々はXVの要素を細分して、何が意味を持ちで、何がそうでないかを確認しました。ですから、ヴェルサス初期の要素から残っている部分もありますが、他方新たに進化したものや、タイトルの方向性の変更から変えられた要素というものもあります)

 つまり、先述したXVの方針転換(一作完結)により、ストーリーを再構成した際にヴェルサスの要素が変更されたことを言っているのです。

 注目すべき最初の点は、ファミ通の「そこまでに固まっていた設定については、神話とは強く絡めず『FFXV』の設定として取り込んでいます。ファブラの神話として出てくるものではありませんが、ベースとして活きています」でしょう。これは即ち、神話を基にして作られたヴェルサス時代の設定を部分的に引き継いでいる、ということを意味します。つまり、XVの設定を通してヴェルサスの片鱗を見て、その中にFNCの影を見る、といったような可能性は許容されていると考えられます。

 二点目に重要なのは、GameSpotの”The woman in the Final Fantasy XV logo--drawn by series artist Yoshitaka Amano--isn't necessarily Etro”です。訳すると「FFXVのロゴに描かれている女性は、必ずしもエトロではない」となります。その後には、「但し作中においては重要な女神となる」という内容が続きます。これは否定的な文面に見えますが、しかし「必ずしも」という文面と、先の「部分的に引き継いでいる」といったことを鑑みてみると、エトロと全く別の存在である、とも言いきれないのです。つまり、エトロに類するような役割を作中で演じるかもしれないのです。

 

 本作において、FF13シリーズにおいて揶揄されていた「ファルシ」「ルシ」等の固有名詞が出ず、神話が前面に出されない、ということはヴェルサス時代から言われていました。(以下参照動画)

www.youtube.com

 

 しかし他方、かつてはFNC関連作品としてがっつり食い込んでいたのに対し、現状はそうでないことは確かです。

 FNC作品であることを、「FNCを共有し、それをベースとし、逸脱せずに作られた作品」と定義するならば、FFXVは明確にFNC作品ではありません。しかしFNC要素は、原案やアイデアの元として、引き継がれていることは確かなのです。情緒的ではありますが、それはある意味神話的であるようにも感じられます。プレイ中は全くFNCとは感じられないが、プレイ後に各要素を検討してみると、実はFNCと対応する要素があった、くらいのことはあり得る、というわけです。

 

結論

 まとめると、

  • FNC作品であることを、「FNCを共有し、それをベースとし、逸脱せずに作られた作品」と定義するならば、FFXVは明確にFNC作品ではない。
  • しかしFNCの要素は、ヴェルサス時代から原案として部分的に引き継がれている
  • 完全にXVからFNC要素が消滅したとは現時点では断言できない

となります。この結論に抱く感想は人それぞれでしょう。しかしそれはここでは問題にはしません。

 しかし言えることはあります。開発中のゲームにおいて、変更があることは当然のことです。それは単なる内容に限らず、その時点の状況を基に出された開発者の発言についても同様です。しかし他方、それが10年近くのタイムスケールとなると、ファンの間で醸成された熱意や期待というものも無視できません。FF15を取り巻く特殊な環境と経緯が、今日の混乱の一端をになっていることは論を待たないでしょう。無論、それでは説明できない動きというものも存在しますが。

 

 結論が出たところで今回はこれくらいにしたいと思います。次に考えたいこととしては、

「クリスタルの設定は今も変わっていないのか」や、「国王レギスの外見の変更の理由について」等があります。まとめて更新するかもしれません。